今年初めのうれしいこと

20年前、住まい手と一緒に、私なりに思いのたけをかけて建てた

ひとつの住宅がありました。

 

小さかった子供さんたちも大人になり、独立しています。

その長い時間をその家ですごし、愛着もあったと思いますが

郷里の実家を引き継がなければならなくなり、断腸の思いで

この家を売りにだしました。

 

最初は、手放すのが惜しいということで、リフォームをして貸家に

しておくことになり、私にリフォームの依頼がありました。

その家に訪れた時、20年前の自分にあったような気がしました。

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まだ若かった私は、いろんな考えをはりめぐらせ、デザインを

考えて、試行錯誤でしていたことがうかがわれます。

照明も、素焼きの陶器を使ったり、渦巻き状の階段の手すりをつけたり

忘れてしまっていた自分に会いました。

自分の建てた家なので、勝手を知っていますので、リフォームも

スムーズにいき完成しました。

 

貸家としては大きくて、維持費も大変なこともあり

借り手が見つかりませんでした。

そのため、建て主さんはやむをえず、売りにだすことを決意しました。

私はそんなことは何も知らず、売れたあとに「新しい住み手に、

建物のことは、家和楽工房に相談してくださいと伝えておきました」

と連絡がありました。

建て主のために建てた家です。

なぜか、とても寂しくなりました。

 

今年になって、その新しい住み手の方から、障子のことで連絡があり

お話する機会がありました。

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この家を買う前に、いろいろな中古住宅を見てきたそうです。

「10年もたっていない家も見てきたが、ここは20年以上

たっているとは思えない。

しっかりしている感じで購入を決めた」そうです。

住んでみて、本物で作ってあるので住みごこちも

よく感じているそうです。

「いい買い物をしました。」と本当によろこんで話を

してくれました。

私も、今後何かあれば言ってくださいと伝えました。

そんな風に、私の建てた家を見ていただき、大切に住んでいただけそうだなぁと

安心して、うれしくなりました。

 

またその家で新しい家族が、思い出を作っていくことだろうと

思います。

 

家って、本物でちゃんと作っておけば、時間がたっても

誰にでも喜ばれるのだと、うれしくなりました。

 

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