耐震の講演をきいて

先週、私が使用している耐震ソフトのセミナーがあり、出席してきました。

そのセミナーで、日本の木造の耐震の先端の研究者である武蔵野工業大学工学部建築学科大橋好光教授の特別講演がありました。
大橋教授は、耐震診断、補強の基準となっている国土交通省監修の本の作成に参加している一人です。

大橋教授は、講演のため滞在していた新潟県長岡市で、新潟中越地震に遭遇したそうです。
鉄筋コンクリート造のビルの4階で地震に遭い、部屋の中で天井と外を交互に見るほかは何も出来ず、もう私の人生もこれで終わりかと思ったそうです。
震度6強の揺れは起震機で体験していたが、本物の地震はそれ以上で、計り知れない恐怖と長さを感じたそうです。そうとう長く揺れた気がしたが、実際は10秒だったそうです。

地震がおさまり、外の避難場所でやれやれ助かったと思っている時、柏崎刈羽原発が燃えていると情報が入り、チェルノブイリの惨劇を思い出し、今度こそだめだと再び思ったそうです。
とにかく帰ろうと自動車で帰路についたのですが、途中で柏崎刈羽原発の火災はボヤですんだと情報が入り、安心したら、耐震の研究者の本能に目覚め、Uターンして建物の被害状況を見に向かったそうです。

道路は寸断されている場所が多く、あみだくじのように、行ったり引き返したりで目的地までは、そうとうの時間を要し、途中には潰れた家が多く、計り知れない力が加わったのを肌で感じたそうです。
その時の写真を何枚か見せてもらい、地震に遭遇していないのに、私も地震の怖さを感じました。
やはり、古い壁のない家が柱が抜け落ち倒壊し、無筋コンクリートの基礎などが、被害を受けていたみたいです。
大橋教授は地震に遭遇し、怖い体験をしたことで、今以上の意欲で研究されることでしょう。
また大橋教授の言うことには、阪神大震災、新潟中越地震の時の震源地の揺れは、非常に大きいことがわかってきて、研究の結果、建築基準法の想定する地震の揺れの1.5倍以上の揺れがきたと思われるそうです。
震源地の真上では、思いもよらぬ事態になるともかぎらないので、計算では基準を充たしていても、より以上に頑固にしておいたほうが良いそうです。
また基礎も、密に鉄筋を配筋しておいたほうが、地盤が液状化を起こしたときや、断層があったときに安心だそうです。
多少費用がかかっても、新築のときに、より頑固にするにこしたことがなく、私の経験上も、思ったよりは費用はかからないはずです。

何年か前から、私も1.5倍以上の耐震性をもつ建物を設計し、提供しています。
そうしていたことがまちがいではなかったと、大橋教授の特別講演で裏づけをしてもらったみたいで、ちょっと嬉しい思いです。
これからも、気をひきしめて、地域的にも耐震を最優先に考えていきたいと思います。

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