建築のなかに、なつかしい原風景を見た

東京にある、有名な建築家藤森照信氏の設計した、新築の建物を見てきました。(この建物は後日、住宅専門誌で紹介されると思います。)
見たとき、えっ、何だこれはと思いました。

何事にもしばられていない建築家の発想が随所にみられ、驚かされました。
たとえば、しっくい壁の中に炭そのものを埋め込んだ茶室。
はじめは、驚きがあり異様な感じを持ちましたが、居れば居るほど落ち着くのが肌で感じてきました。
外壁は、銅板をたたいてわざとベロベロにして、不揃いな間隔のよろい張り。
その自然味が、何ともいえない佇みをみせてくれていました。
内壁は部屋ごとに仕上げを変えるのではなく、全部厚塗りのしっくいで仕上げてありました。
学生が塗ったしっくいの、素人塗りのハンドメイドさが自然木と調和して居心地が良かったです。
外壁がベロベロでも、しっくいが素人塗りでも、一生懸命さが出ていて、正確に作ることを重んじる建築のていねいさと違い、違った意味でのあたたかさと親しみを感じました。
建築の常識を覆すような、普通では考えられないような家。けれども何かまとまっていて手作りの味がして、見て飽きないどころか、究極は落ち着いていて、心を和ませてしまう家。
それは、誰にでもできるようで誰にもできないものなのでしょう。
建築は、発想の産物だと改めて認識しました。
子供の頃にあこがれたツリーハウスのような、記憶のなかに立ち消えていた原風景を見たような、そんな懐かしい思いにしてくれました。

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