配色

今、建てているA邸の色合いが、何ともいえない表情をうかべるようになってきました。
淡い暖色系の外壁の色と、帯状に貼ったタイル、素焼き瓦の色の対比が、何ともいえずいい感じに表現されていて、うれしくなってきます。

外壁工事のために、養生されて見えない柱に埋め込んだステンドグラスが、アクセサリーとしてちょっとしたポイントになるのが楽しみです。
いつも私は、縫い針に糸を通すように神経をとぎすませて、色を決めます。
冒険したくなる色、差しさわりない色、インスピレーションで浮かんだ色、これだと思う色、使ってみたくなる色、思いとどまりながら、ここにフィットする色は何か、他のものとの配色も考え、気の済むまで時間をかけ、あきらめないで、目の前にある色見本と建物をかぶせながら、何回もいきつくところまで考えます。
そうしていくうちに、何かが見えてくるんです。
そこに、自然と納まってくれる色が見つかるのです。
でも、色を決めるのはなかなか怖いことです。
自分はいいと思っても、建築主の意向に合っているか心配になります。
でも私は今は、そういう心配をすみにおき、自分の感性を信じて色を決めていきます。
色は、計算して誰もが一つの同じ答えがでるのと違い、人によって千差万別です。
だから、おもしろいのかもしれません。
自分の感性が、色によって反映するのが建築の魅力でもあります。
いつまでもその建物が、住む人や周囲の皆さんにかわいがられるような、そんな色選びをしていきたいと思っています。
決めた色は、もちろん建築主に確認のうえ、施工しています。

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