タイルっていいな
O邸では、1階外壁廻りを素焼きタイルで貼りました。
素焼きでできた茶碗と同じような素材です。
釉薬をかけたタイルと違い、色が焼き方によって
まちまちになり、それがまた、自然で風合いを
かもし出してくれます。
タイル職人が、糸を水平に張って、それにそって
1枚1枚手馴れた太い指で、張ってゆきます。
そして、ある程度張ったあと、遠くから見ると、
焼き物ですからひとつひとつ表情があり、
手作りの味が伝わってきます。
「やっぱり、本物はいいね。」と言ってタイル屋さんと
顔を見合わせます。
メンテナンスの面では、もう一生塗装しなおすこともないので、
あとで費用もかけなくてすみます。
最近は、タイル職人さんが仕事が少なくて苦慮しています。
最近の住宅は、タイル工事の部分がめっきり少なくなりました。
玄関ポーチくらいしか、タイルを張る場所がなくなりました。
台所の壁はキッチンパネル、お風呂はユニットバスで、
昔のようにタイルは張りません。
トイレの床もCFシートで、壁もクロスが多くなりました。
それはそれでいいのですが、現代の住宅は、
タイルが消えてさみしい限りです。
私は、タイルの感じが大好きですから、
迷うことなく仕上げにタイルを選びます。
耐久性、風合いが群を抜いていて、気に入っています。
タイルの種類、使い方によって、個性がでてきますし、
またそれを住まい手と一緒に考え、発想していくのが面白いのです。
たとえば、いろんな色のタイルをまだらに使って、それを楽しむこともできます。
モザイクタイルの華やかさ、かわいらしさ、静寂さ、
選ぶものによって、その空間の雰囲気が変わります。
O邸では、これからトイレの床、壁、台所の床、壁、
玄関の土間、ポーチにタイルを使っていきます。
どんな家になるのか、私も楽しんでいます。
タイルは、私にとって、設計表現の必需品です。