あったかなもの

チルチン仕様の家の大工工事が終わりに近づきました。

誰もいない日曜日の現場で、大工さんが手掛けた仕事を、
しげしげと見つめました。

仕事をしているときは、道具や材料が多く、
目にとまらないものです。

仕上げのしてない、色もない、殺風景な現場に大工さんが
しっかり作りこんだものが、私に語りかけてきます。

丹精こめて形を整え削り出した、柔らかなダイニングテーブル。
テーブルがこれ以上割れないように気遣って入れてくれた
蝶ネクタイ型のちぎり。

木目が美しく見えるように木取りして磨いたキッチン前の
カウンター。

階段には、ひのきの角材をなめらかに加工して作った、
やさしさのある丸の手すり。
それを支える手製のブラケット。

居間から吹き抜けを見上げると、秋の日差しがとても気持ちよく
大工さんが手掛けた松の梁や壁を、きわだたせていました。

押入れの中も、きちっと張った杉板が気持ちよく、
中段は通風のため、手間がかかるけどすき間をあけて
張ってあります。

 

住宅がキッド化し、出来合いのものを取り付けて済ます時代のなかで、
ノミを使い、カンナを使い、丹精こめて手づくりで、
そこにしかないものを作り出していく。

時代にそぐわないけれど、出来ているもの一つ一つに、
あったかいものを感じます。

 

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