チルチン仕様の現場は、今タイル張りの工程を終えました。
チルチン仕様ということで、52の化学物質の測定をして、
基準値以下であることを証明しなければなりません。
いつも使用しているタイルの接着剤(変成シリコン樹脂)は、
少なからず化学物質が
放出するということで使えません。
台所、洗面台、トイレの壁をタイルで張るときは、初めに
ラス網をタッカで張り、モルタルを塗り乾かした後、セメントに
つのまたという海藻のりを混ぜてタイルを張っていきます。
接着剤のなかった昔にもどって、昔のやり方で施工することが
化学物質を出さないことにつながります。
タイル屋さんは、いつもと勝手がちがい、たいへんでした。
工程が多く時間もかかりました。
また、気を付けて張っても、接着剤で貼るより、
はがれやすいかもしれません。
効率、施工性、経済性を考えれば、よっぽど接着剤で張ったほうが
いいかもしれませんが、化学物質を出さないためには
この方法しかありません。
接着剤で張るときには、嫌な臭いが室内に充満しますが、
この方法では臭いはしません。
すがすがしい気分でいられます。
玄関の床のタイルは、モルタルで下地を整えた後乾かして、
その上にセメントペーストで張っていきます。
建築主と選んだ一枚一枚違う表情の焼き物の土のタイルが
張られていくと、味のある床になってゆきます。
タイルなのに、土のやわらかさが自然に伝わってきます。
45角の異形でやさしい色むらのあるタイルで洗面台を張りました。
廻りの杉板と相性もよく淡いやわらかなグラディーションを作り出し、かわいらしくなりました。
タイルにしても何でもそこに合うものを独自で選んで
作るということは、そこにしかない唯一の形が生まれ、
楽しいものです。
それが、手づくりの家のすばらしいところだと感じます。