今の住宅産業に対して思うこと
ふと、今の住宅産業に対して思う
建築に携わる設計者として、材料の選択の巾がずいぶん少なくなってきたと思う。
特異性の物がなくなり、良いものでも売れないものは、生産ラインから排除され、
手軽な価格の量産品しか、メーカーが作らなくなってきている。
ひとつの例として瓦で考えると、一昔前は、いろいろな瓦が出回っていて
この家には、どの瓦を使ったらいい家になるのか、瓦の選択に迷ったものでした。
日本屋根経済新聞社で出している、日本の瓦をとりまとめた本(屋根セレクション)も
ずいぶん厚くて見るのも楽しかったのですが、今は瓦の種類が少なく、本も薄くなって
量産品ばかりになってしまいました。
扉にしても、昔は無垢ドア、突板ドア、ラッピングドアなどいろいろな種類のドアが
ありましたが、今は無垢ドア、突板ドアなどは、無いにひとしく、比較的求めやすい
量産品の塩ビシート張りのMDFのものが主流になってきています。
無垢や突板のものは、作っても、注文する人が少なく割りにあわないのでしょう。
住宅機器にしてもメーカーの数も減り、機器の選択肢も少なくなりました。
住宅設計するものとして、選択肢が多種多様にあったほうが、想像力や発想力が
生まれ、住まい手に独自性の住宅を提供することが出来ると思うのです。
選択肢が少なくなればなるほど、同じような家が作られていきます。
これでいいのか、私は今、疑問に思っています。
(植松)