昔、私たちの家は、木、土、草、石、わらといった自然素材で建てられていました。
その器の中で暮らし、そしてそれが朽ちたり、解体され、また自然の中に還され、家はそういう周期でまわっていました。
自然素材で作られていたので、自然に還ることができたのです。
でも、今の日本の建物はどうでしょうか。
工期短縮、コストダウン、均一品質を優先するあまり、手仕事や自然素材は排除され、あらかじめ作った工業製品で建物の多くを作るようになってきています。
接着剤で貼り合わせた合板や集成材、サイディング、ビニールクロス、木にみせかけたラッピングの造作材や建具、MDF、合成塗料、防腐剤、接着剤、農薬などなど。
建物の多くは、なにかしらの化学物質を含んだ建材で作られています。
その中で生活を営んでいれば、放散された化学物質を吸い込んで健康被害にも遭います。
また、工業製品はあたたかみがなく、物に対する感性や、質感も損なわれます。そういう材料は自然に還ることが出来ず、ゴミとして地球上に残ってしまいます。あるものは、有害なダイオキシンなどの物質になってしまい、大きな環境汚染にもつながります。
すでに北欧、ドイツでは、環境や健康のことを考え、化学物質のあまり出ない、健康を重視した建物になってきています。
私も、ヘルシーハウスアドバイザー(旧名称:シックハウスアドバイザー)として、建築主の方が健康被害にあわないよう、建材の選択には注意を払っています。