古民家再生 ( 2 )

伊豆の国市の山間の集落に農家の住宅として建てられた古民家の再生を施っています。 

北側から見た修復前の古民家

 古民家を再生するにあたり、これから来ると言われている地震に対して安全で耐えられるかどうかが、建築主にとって、リフォームする施工者である私にとっても、重要なことでした。                             

一般的に大半の木造建築物は、筋交い面材で構成され耐力壁を、東西方向.南北方向に、建築基準法で算出した壁量を、バランスよく配置する構造で建てられています。耐震壁によって地震力に耐える構造です。耐力壁の下部はコンクリートの基礎で固定しなければなりません。定められた壁量を保有することで、変形.ねじれ.崩壊を防ぎます。

修復する民家は、古いお寺に多く見られるように足固めした礎石の上に、柱を立てて上部を木材で骨組みされた石場建工法で建てられています。筋交いは使っていません。前者と工法が違います。

チルチンびと別冊 民家の再生と創造⑤ 資料より

もし、この古民家を一般的な壁量で耐える構造にすると、必要量の筋かい面材を設置して、その下にはコンクリート基礎を設けなければなりません。場合によっては、柱が見えなくなったり、開口部に壁を設置しなければならない場合もあります。また、より大変なのはコンクリート基礎を作ることです。家をいったん持ち上げて施工しなければ基礎は作れません。莫大な費用を要します。また民家としての風合いもなくしてしまいます。現実的ではありませんでしたので、出来るだけ費用をかけずに安全性を担保できないかと苦慮していました。

古民家の内部 修復前

そんな折、チルチン人の編集長から紹介を受け、石場建ての構造の第一人者でもある建築家にお会いし、相談をすることができました。この古民家が、今のままで大丈夫なのか、もし、構造的に持たなければどのような補強すればよいのか構造計算の依頼をしました。床下に潜り、小屋裏に入り、礎石の配置.状態.上部木材の位置.高さ.断面.骨組.土壁などすべて採寸して、図面化します。そして部材の安全性、これらがどんな動きをするか、建物の柔軟性も考慮した上で、限界耐力計算をして安全かどうかを確かめます。計算方法も特殊なので、手間がかかり、費用もかかります。幸いにも計算していただいた結果、劣化した部分を直せば、安全であることが確かめられました。

もし基礎をつくり、耐震壁を作った場合1000万以上の工事費がかかると思います。計算に費用がかかっても安全性を確かめられれば、工事費の2割3割の負担ですみます。この家は安全性が確かめられましたが個々の家によって違います。運良く、石場建て工法の計算をして、安全性が立証されたことで、大幅な節約になりました。そして住まい手も安心して過ごせると思います。

南側の広縁修復後

そして、風合いも壊さず構造も変えずこれからも古民家としての形を伝承して行けます。

                                                           

  

      

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