阪神大震災、そして東日本大震災で尊い命が失われました。
生命、財産を失わないためにも家を建てるとき、耐震は重要な要素です。
建築士として、より安全にしたいと考え、壁量計算、N値計算をして、建築基準法の1.5倍の強度になるようにしています。
材料、環境他の原因で、また経年変化で強度が下がるとも限りません。
そこで、家和楽工房では以下の点に重点を置いた家づくり、生活環境づくりに取り組んでいます。
柱、土台を桧にしておけば、長期にわたって老朽化しにくいので、十分な耐久性を確保でき、耐震性も損なわれません。
柱の間隔を開口部以外は910ミリにして、アンカーボルトは全て径16ミリを使用し、部位ごとに安全性を考えています。
静岡県耐震診断補強相談士として県のTOUKAI-0のプロジェクトに加わり、昭和56年以前の建物の耐震診断、補強工事にも携わっています。
家和楽工房の耐震設計
ずっと家族とともに住む家だから基礎は建物の基本です。
・地盤調査
住宅を建築する前には、その敷地の地盤の診断を行わなければなりません。
私は、スウェーデン式サウンディング試験(棒状の槍のようなものを差し、加重25~100㎏をかけ回転させながら、25㎝下がるまでに何回転させたかで地 位地盤の地耐力を判定する)では、ある程度の値が出ても正確さにかけるため、ボーリング調査(標準貫入試験。筒状の中で重りを落下させ、30㎝下がる打撃 回数とその地質により地耐力を判定する。深さごとの土のサンプルを確認できるので値の信頼性が高い)を並行してい行います。そうすることで、正確な地盤のデータがつかめます。
その結果をもとに地層の構成を把握し、確実かつ的確な支持地盤を見極め、それに見合った杭及び基礎配筋・基礎形状を決めます。
・基礎コンクリート
通常は地盤調査で述べた地盤を元に支持地盤まで杭及び柱状改良をして、その上にスラブ状の厚さ200mmのベタ基礎を設け、立ち上がりは、高さ450mm、巾150mmのコンクリートとします。
コンクリート強度は21KN/c㎡以上とします。
・基礎配筋
ベタ基礎として、下端筋上端筋ともタテヨコD13mm・200mm間隔で上下ダブル配筋します。
立上りの鉄筋は、D13mm・200mm間隔で配筋します。
鉄筋量は余裕をもたせ、安全になるように多めに入れます。
基礎は建物の基本ですから、経済性より安全性を重要視します。
・アンカーボルト
アンカーボルトは、通常径12mm・長さ400mm・2.7m間隔で良いのですが、 私は、径16mm・長さ600mmのアンカーボルトを1.0m間隔で引き抜き荷重のかかる柱近くに設けます。
通常の長さ400mmのアンカーボルトは、コンクリートの埋め込み長さが250mmくらいになります。
長さ600mmのアンカーボルトなら最低でも400mmはコンクリートに定着します。
埋め込み長さも長く径も太く、基礎と建物の緊結をより強固にして、東海地震に備えます。
・木構造
木材は基本として国産材を使用します。
土台・柱は桧、梁は杉を用います。
国産材はヒノキチオールという耐蟻性のある成分が含まれていて、過度の防腐防蟻処理をしなくても耐久性を保つことができ、自然で健康的でもあります。
柱は森林認証材である富士ひのきを使用しています。
強さを示すヤング係数・含水率が明記されていますので、木材の強度がわかり信頼性が生まれ安心した家づくりができます。
また、地元の木を使用することで地産地消にもつながり、森の育成にも貢献できます。
・構造設計
いくら大断面の木材を使用しても、構造設計が悪ければ弱い建物になってしまいます。
プランニングの段階で荷重が無理なく基礎に伝わるように平均的に耐力壁を配置し、可能な限り1階の壁と2階の壁が合うように考慮しながら間取りを考えます。
柱の間隔は、開口部を除き910mm間隔に配置します。
柱の数が多い方がそれだけ上の荷重と均一に負担でき、地震時に変形しにくく、梁のたわみも少なくなります。
柱頭の2階梁は、全て梁成240mm以上を使用します。
・耐力壁
最近の地震から想定を超える地震動が観測され、今以上に耐震強度を確保する必要があることが見えてきました。
木造構造研究者の間では、建築基準法より1.5倍の強度を確保した方が望ましいとの声が多くあります。
それをふまえ、私は耐力壁を東海地震に備え2倍近くに増やしています。
静岡県の場合、強い地震が起こる可能性が高いということで、建築基準法耐震基準に1.32倍(地域係数)掛けなければなりません。
私の施工する建物は、静岡県の耐震基準1.32倍に更に安全性を考え、それに1.5倍を確保して計算しています。
建築基準法の耐震基準より1.32×1.5=1.98倍の耐震構造になっています。 2倍近く耐力壁を設けて、東海地震に備えています。