住みつなぐ木の家
最近、少し景気がよくなり、住宅の建築が多くなってきました。
いとも簡単に建ててしまう、量産型の既製品の住宅や、
リーズナブルな工業製品で作られた住宅が、増えてきました。
その反面、手づくりで長時間かけ、技術をいかしたオリジナリティのある、
あたたかみのある家の割合が少なくなってきています。
昔の人が築き上げた、日本の風土に合った、無垢の木としっくい、
自然素材でつくられた家も見直してほしいと思います。
最近、あまりにも量産型の住宅が建てられてしまうため
国土交通省も、昔からの住まいを見直すように、警鐘をならしています。
(ホームページを参照してください)
このままだと伝統的な住まいづくりとともに、技術の継承もできず、
日本の暮らしの文化が失われていってしまいます。
無垢の木は、やさしくあたたかく、ぬくもりを感じます。
塗り壁は、空気を浄化し、さわやかな空間にしてくれます。
手づくりは、思いや情緒を伝えてくれます。
木やしっくい、石、紙など、本物の自然素材でつくった家は
時が経つほどに、風合いが増してゆき、愛着がでてきます。
メンテナンスをしてゆけば、素材は裏切ることなく、百年近く
歴史を刻んでゆきます。
ずっと住み続ける家です。
家を、既製品や商品を買うように簡単に考えず、じっくり考え
楽しみながら建ててほしいのです。
使うもの一つ一つを吟味しながら、その家族とその周辺環境にあった、
将来をみすえたオリジナリティあふれる、ただひとつの家にしてほしい。
それが、大切な家族の健康や、いこいの時間、子供たちの質感を
育ててゆきます。
そして、日本の建築技術の継承にも、つながってゆきます。
家族を、その木のやさしさで、いつも包みこんでいてくれるような
そんな暖かい家を、建ててほしと思います。
(植松)
写真:相原 功