顔
最近は、耐震偽装に始まり、食品の偽装、認定の偽装、事故米と、とどまるところを知らず次々と出てきます。自分の目で、原材料から製品になるまで確かめなければ信用できません。
企業倫理もなくなり、名のあるブランドさえも、信頼が揺らいでいます。大きいからイコール安心でなく、自ら見極めて、自己判断しなければならない時代になりました。
昔は、狭い地域の中で、顔を見ながら物を売っていました。消費する人の顔を知っていたので悪いこともできませんでした。
かつては、どこでも店頭だけで、お客さんの顔を見ながら相手をして、商売をしていたのだと思います。
狭い範囲で、把握した中で商売をしていれば、在庫もなく、無理もなく、利益もそこそこ出て、偽装につながらなかったと思います。まして、店頭で顔の見える人に、質の悪いものは売れません。顔を見ながら物を売れば、偽装など起こりえないのです。
買った人は、売った人を信頼し、売る人は、自信のある確かなものを提供して、また買ってもらう。
今は、誰が消費するかわからないものを、広い地域社会で売って、儲ければそれでいいという風潮になってきて、安さが重要視され、安全性や質は軽視されています。
また、インターネットなど市場も広がり、企業のトップの売り手の人も、それぞれの顔を見て売っていないのです。利益追求するあまり、消費者の顔が見えず、コストダウンを要求し、末は偽装につながります。作り手が買う人の顔を見ていれば、そういうことは決して起こりません。
住宅も同じです。
建築主の顔を見て、狭い地域の中で仕事をしていれば、へたな事はできません。偽装などには、とうていつながりません。
また、職人さんも、作り手の思いが伝わり、その顔を見て、恥のかからない仕事をしてくれます。
そういう流れが、ちゃんとした物作りのモラルを作り、まちがいのない、あたたかみのある家づくりにつながるのではないでしょうか。
ひとりひとりが、日本の物作りの文化をもう一度考え、大切にしてゆきたいものです。