和み楽しませてくれるテーブル

私が建てた ある家に行くと、
大きく長いテーブル(3.3×0.9m)が、居間の真ん中に居座っています。

これは、ご主人が新居の居間には大きな長いテーブルがほしいとのことで、
私と木材屋さんの倉庫に行って木を選んで、
作ったテーブルです。

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今思うと、それは古びた大きいだけの木でしたが、
何か惹きつけられるように、一目見ただけで その木に決まりました。
値段も手ごろでした。

汚れていて木目がわからなかったので、購入時はどんな出来栄えになるか
不安がありました。
大工さんが4人でやっと持てる重さでしたし、形もいびつで癖がありました。
大工さんがノコギリを使い、カンナをかけ、
その都度 重い木を横にしたり縦にしたりと動かし、
四苦八苦しながら 平らですっきりしていて、なおかつ自然味のある形に整えました。
その後 気に入った位置にセットするまで、方向を変えたり、
反対に動かしたり、重いので苦労しました。

最初に作った脚が細く、厚みのある大きな板とのバランスが合わず、
太い脚に作りかえもしました。
セットした段階で 全体にサンドペーパーをかけると、
あの汚かった木が こんな風にきれいになるとは想像もできなかった程に、
魅力あふれるテーブルになっていました。
その後、布で自然塗料をまんべんなく丁寧に、
しみこませるように塗って仕上げました。

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ご主人も、大工さんの手によって生まれ変わる木のテーブル製作の様子を 随時確認されていて、
より良くなるたびに喜んでいらっしゃいました。
大工さんの思いも苦労も伝わったのだと思います。

今では ご家族の団らんの中心に、
ある時は お客様との語らいの場にもなり、
このご家族には欠かすことのできないテーブルになっています。
ご主人がほしいと想い、そして、
その時そこにあったから出会った木です。
人の出会いと同じように、それも縁だと私は思います。
だから今ここに、このテーブルがあるのです。

ご主人が選び、大工さんが作り、私がポジションを決めた、
みんなの総意が そのテーブルにはつまっています。
説明しなくても、いつも開いている絵本のようにストーリーを語ってくれます。
だからこそ 親しみが持てるのです。

また おもしろいことに、この木は”モンキーポット”という名前の木で、
♪この木なんの木気になる木♪のフレーズで有名な 日立のコマーシャルの木だと
木材屋さんに教えてもらいました。
いつも話のタネになり、訪れる人を楽しませてくれます。

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私は その家に行くと、木材屋さんの話が耳に残っていて、
そのメロディがテーブルから聞こえてきます。
ご主人にとっても、ご家族と一緒に そのメロディを聞きながら飲むコーヒーは
最高の味ではないかと思います。

ずっとそばで和み、楽しませてくれるテーブルになりました。

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