真壁和室を 事務所に

二十数年前 、家和楽工房で建てた家の 和室の続き 間だった所を 、事務所に改造しました。 昔 、私にとっても 手をかけた 思いのある 和室でした。 今は 、人の集まりや 、家の行事が少なくなったため 、和室の続き間は だんだん使われなくなってきました。

改造前

家に併用して土木会社の 事務所は ありましたが 、手狭になり 、あまり使われていない 和室の続き間を、 事務所に活用することにしました。 家和楽工房で 建てたこともあり、 その和室の雰囲気を壊さず木の温もりを感じる落ち着いた事務所にしてほしいと依頼を受け、 使いやすさと 居心地を重視して レイアウトして、作り上げました。

改造途中

和室の仕上げはそのままで、壁はわら聚楽 、床は畳から 栗の無垢板を張り 、天井は 杉の竿縁天井はそのままで、 大きなペンダントの照明を取り 、均等に 光が万遍と届くように、 竿縁の間に すっきりとした 八つの シーリングの 照明を取り付けました 。スチールの事務机だと 違和感が出てしまうので 、2300*650 の 自然木の 2枚の 板で. 机を2台 固定して作りました。 樹種は 、北海道の キハダ という固い 机に合う 木です。 言葉の如く 木肌が美しく 、見ていて 落ち着きます。 その横の手の届くところには 、日本杉の 集成材で 本棚を 作りました 。使い勝手は良いと思います 。打ち合わせのテーブルも、 谷田木材に行き選んできました 。

机想像図
机詳細図
本棚詳細図

木は、出会いです 。めぐり逢いです 。その時、めぐり合わなければ、良い木は手に入りません 。ちょうどその時 、目の詰んだ赤味の杉がありました 。多分300年あまり経っていると思います 。その社長に聞いたところ、この木は千葉の香取神社の境内にあった 杉だということです。

杉の打ち合わせテーブル

和室の空間に 見合うように、 寸分と 狂うことなく コーディネートすることで、 木のぬくもりを感じる居心地のよい 事務所になって行きます 。細部にわたって、気を使うことで、建物にこうしたいという確かな 主張が、伝わってゆます。

自然の木はやさしく落ち着きます 。キハダの机に向かえば 、仕事もはかどると思います 。そして、落ち着く分、物事を決める時、 冷静に判断できるのではと思います。

改造後

来客があった時、杉 のテーブルに向かって 話せば、より会話が弾みます 。時の経つのを忘れて、長居してしまいます 。

今 、機能ばかり優先した既製品で固められた無機質な 事務所が多い中 、こんなにいっぱいに自然が詰まったあたたかな事務所があってもいいのではと思います 。何か 、いとおしくなります。

キハダの机

私が、このリノベーションで 感じたこと、 新築の時に ちゃんとした材料で作っておけば、柱も壁も床も天井も しっかりしていて、それを壊さずに その雰囲気を変えず、 その風合いを生かした 現在に見合った、 より以上のものが できあがります。無垢の木は、手をかければよみがえってきます。 壊さず 大事にすることで 節約になり 、コストダウンにつながります。 思い入れのある家を壊すと寂しい気がしますが、 それもなくなります。

fb-share-icon0